スラック その2
スラック=ゆるみ、たるみ
という意味です。
(昨日の続きです。
有名な話なので、知っている方もいると思いますが、)
アメリカの某救急病院では手術室の問題を抱えていました。
32の手術室で年間3万件あまりの外科手術が行われていて、
手術室はつねに予約でいっぱいでフル回転です。
そのため急患が出ると病院は予定していた手術を動かさざるをえません。
その結果、病院スタッフは午前2時に手術を行い、
医師は2時間の手術をするために
数時間待つこともしばしばで、
スタッフは予定外の残業をしている状態でした。
緊急手術によって、残業時間の増加や、
スタッフの疲弊、手術時間の延長などを引き起こし、
オペ室全体の効率性を落としていたのです。
そこで、この病院は
「手術室を緊急専用としてひとつ空けておく」
という決断をします。
手術室のスラックを設けたのです。
その結果、スラックに「想定外」を吸収させることで、
もともとの手術スケジュールが影響を受けにくくなったのです。
ひとつの手術室を緊急手術専用にすると、
病院が受け入れられる手術は5.1パーセント増えました。
午後3時以降に行われる手術の件数は
45パーセント減少し、収入は増えたのです。
スラックがいかに大切かを教えてくれる事例です。